インタビュー記録

1938年(昭和13)年6月1日 

 海軍横須賀海兵団入団、志願。
 半年間の基礎教育と適正検査の結果、海軍航海学校信号兵へ。

1939年(昭和14)年 5月

 第一線を希望し、上海第3艦隊第一掃海隊司令艇に乗船。
 上海-重慶-南京-漢口岳州と、揚子江(長江)遡行。
 主に浮遊機雷排除と沿岸砲撃、また南支那海での中国支援(援蒋ルート)の航行遮断(通商破壊)を6ヶ月遂行。12月大湊軍港に配属。 第8号駆潜艇に乗船し、日々津軽海峡、北海道、千島列島の沿岸警備。

1941(昭和16)年 12月8日 

 太平洋戦争開戦を北海道で知る。

1942(昭和17)年 2月

 海軍潜水学校へ入学 5月横須賀転勤下士官任用。
 海軍第11設営隊に入隊、山本五十六連合司令長官の艦隊に配属、ミッドウェーに向かう。
 どこに行くかは知らされていなかった。小笠原諸島のあたりで、隊長の門前大佐より「お前たちの命はもらった」との訓示を受け、大決戦の覚悟をした。その後、サイパンへ。
 任務はミッドウェー作戦が終了後、陸軍一木支隊とともにミッドウェーに上陸後、滑走路の補修、整備を行う。もう後、1時間で上陸というところで機動部隊の空母が全滅したため、作戦中止。もし、上陸していたら3日ともたなかっただろう。この後、半年くらい太平洋を遊弋、トラック島へ。
 トラックで1ヶ月ほど待機した後、徴用行員1350名とガダルカナル島へ。任務は米豪遮断作戦のための飛行場建設。

7月6日 ガダルカナル島・ルンガ岬付近に上陸

 1ヶ月ほどかけて滑走路設営、設営は手作業でツルハシ、ナタ、オノ、残土の排出はモッコを利用。滑走路完成をラバウル第8艦隊に連絡するも日の丸をつけた飛行機は1機も来ず。

8月7日 米軍機動部隊上陸、上陸部隊来攻

 本部付の当直で、4時頃、艦載機を発見、まさか敵機とは思わなかった。高度800メートルから1000メートル吊光弾を投下、猛烈な艦砲射撃が始まる。初弾、命中。
 4時ないし5時から14時ごろまで、10時間あまり艦砲射撃は続く。5,60杯の敵機動艦隊が砲門を開く。防空壕で手も足も出なかった。敵橋頭堡を壊すため夜7時か8時に近づくも、機銃掃射、鉄条網等で阻まれる。徴用工には小銃ひとつしかない。

 援軍を待って、マタニカウ川まで後退。敵が押してきたら2,3日で全滅の兵力しかなかった。8月12,13日ごろに重機関銃をマタニカウ川畔に据付を行う。川の対岸から敵に狙撃され死者が出る。高橋二等兵が胸を撃たれ「おっ母さん~」と絶句して倒れた。

 この後、アウステン山の山腹より敵情報告が任務となる。観測班は7,8名で見張り長だった。約2-3ヶ月、金剛、棒名の占領されたヘンダーソン飛行場砲撃はアウステン山から見ていた。また、陸軍第2師団、同38師団の道案内も行った。背後に擲弾筒が落ち、後ろから撃たれるわけにいかないと移動したところ元の位置にまた擲弾筒が落下して3、4名が即死、自分も破片を受けるも、信号兵だったため、受信紙の束と筆記のための画板がそれを防ぎ、怪我をしなかった。

 9月 連日、敵部隊の出入船舶多く、飛行機の数も増してきた。

 10月、11月と第2師団、第38師団ともに押され陣地も西へ下る。当見張り所も敵機に発覚。銃撃も激しくなった。
 補給がないので弾丸無し、食料無し、マラリア、栄養失調で倒れる者多数。ヤシリンゴの芽を割って食べて、暗闇に上がってきたカニを手当たり次第に叩き潰して翌日拾い食べた。ヤシの芽はメロンパンの味がした。アウステン山より下る。

1943(昭和18)年 

 正月はタサファロング付近で迎える。輸送船には弾薬と食料が一緒に積まれていたため、敵の攻撃を受けると弾薬が誘爆して食料は手に入らなかった。やっとの思いで運び出したら、福神漬けだった。1週間、総攻撃に参加しないと食料が無くなる。
 昼はジャングルの中を、夜は海岸沿いを移動。観測班は共に行動していた。1月半ば、撤退命令下る。撤退作戦はラバウルからの無線を聞いたものを口伝で、遂にガ島転進を決意し、1月22日深夜「イ号19」潜水艇にてショートランドを継ぎ、ラバウルに脱出。

 2月1,4,7日3回にわたり駆逐艦を総動員してエスペランス岬カミンボウより決死の撤退作戦。陸海の存命者約1万名弱が離島する。
 その後、野戦病院で1ヶ月、病院船「氷川丸」で横須賀へ。海軍病院で静養の後、洲崎海軍航空隊航海学校高等科へ。

1944(昭和19)年 12月 追浜海軍航空隊勤務

1945(昭和20)年 1月 横浜大空襲 3月東京大空襲

 8月15日敗戦 大命により終戦となる。玉音放送を聴くまで負けるとは思わなかった。蝉時雨の音だけが大きく聞こえ、上官に負けたといわれて泣いた。

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